ミステリー

砂漠

ミステリー,サスペンス,小説

「大学の一年間なんてあっという間だ」入学、一人暮らし、新しい友人、麻雀、合コン…。学生生活を楽しむ五人の大学生が、社会という“砂漠”に囲まれた“ オアシス”で超能力に遭遇し、不穏な犯罪者に翻弄され、まばたきする間に過ぎゆく日々を送っていく。パワーみなぎる、誰も知らない青春小説。

amazonレビュー

読み終わった後、少し寂しくなる

驚くべきミステリーというよりは、キャラ同士の掛け合いに引き込まれる作品です。

伊坂作品には魅力的なキャラが登場するのですが、中でもこの作品のキャラの立ち具合は抜群だと思います。

物事を俯瞰的に見てしまう少し冷徹な北村、軽薄で調子乗りの鳥井、無口なモデル系美人の東堂、引っ込み思案なプチ超能力者の南、そして、物語を引っ張る、思ったことはなんでも行動に移してしまう西嶋と、すべてのキャラが一癖ありながら憎めない存在に仕上がっているのが素晴らしいです。

それぞれのキャラクターが、大学生活を通してほんの少しだけ変わっていく様子も面白く、物語を読み終える頃には、読者である自分も、登場人物たちと離ればなれになってしまう気分になり、少し寂しく感じた程です。


告白

ミステリー,サスペンス,小説

我が子を校内で亡くした女性教師が、終業式のHRで犯人である少年を指し示す。ひとつの事件をモノローグ形式で「級友」「犯人」「犯人の家族」から、それぞれ語らせ真相に迫る。選考委員全員を唸らせた新人離れした圧倒的な筆力と、伏線が鏤められた緻密な構成力は、デビュー作とは思えぬ完成度である。

amazonレビュー

倫理観はどこから生まれるのか

読後にジワジワと考え込まされたり、ふとした時に思い出したりする小説が、私にとっての「良い小説」なのですが、これはそんな一冊になりそうです。

ニュースを見ていると、いじめ、犯罪の低年齢化、無差別殺人、モンスターピアレンツ、と耳を塞ぎたくなるような事象ばかりで、世の中そんなやっかいな人ばかりなのか?と落ち込んでしまいそうになりますが、大多数が普通の人です。

そういう事件を起こす人が目立つだけで、何も事件を起こさない人はニュースにならないから、普遍的な倫理観を持ち合わせている人が少ないように感じられてしまうだけかな、と。

ところで自分の倫理観というのがどこから来ているのかと考えてみると、なんだかハッキリしないのです。モノを盗まないとか、人を傷つけないとか、理不尽なことを他人にぶつけない、などの意思をどうやって育んだかと問われたって困ってしまいます。

ということをこの小説を読んで考え込んでしまいました。

この小説にはツッコミどころ満載の人物ばかり登場するのですが、読んでてウンザリしないのは、1人だけ一刀両断してくれる登場人物がいるからです。

その人の主張は冷徹なまでに論理的なのですが、その論理の是非についてはまた考えどころなのです。

とりあえず、読後に自分に跳ね返ってきて逆に問われるような話が好きな人にはぜひ読んでいただきたい1冊です。

そういう本が好き、という方が多いと救われる気がします。


ミステリ・オペラ―宿命城殺人事件

ミステリー,サスペンス,小説

平成元年、東京。編集者の萩原祐介はビルの屋上から投身、しばらく空中を浮遊してから墜落死した。昭和13年、満州。奉納オペラ『魔笛』を撮影すべく“宿命城”へ向かう善知鳥良一ら一団は、行く先々で“探偵小説”もどきの奇怪な殺人事件に遭遇する。そして50年を隔てた時空を祐介の妻・桐子は亡き夫を求めて行き来する…執筆3年、本格推理のあらゆるガジェットを投入した壮大な構想の全体ミステリ。

amazonレビュー

『虚無への供物』にも匹敵する傑作!

600頁を超す大作ですが、とにかく面白い。エディターレビューに書かれていますが、昭和13年の満州と平成元年の東京を舞台として、各々の時代で起こる奇々怪々な殺人事件。50年の時空を往復するヒロイン…。  本格推理小説の面白さに加えてSFがかった味もプラスされて、何とも言えぬ雰囲気を漂わせています。「探偵小説でしか語れぬ真実もあるんだぜ。」という科白が何とも心憎い。概略を述べると、読む人の楽しみを奪うことにもなりかねませんので、ただ一言『絶対に面白い。是非読んでみて。』としか言えません。現在と過去との二重奏とも言える作品ですが、何とも言えぬ 叙情を感じさせる本です


最後から二番めの真実

ミステリー,サスペンス,小説

女子大のゼミ室から学生が消え、代わりに警備員の死体が。当の女子大生は屋上から逆さ吊りに。居合わせた氷川透はじめ目撃者は多数。建物出入り口はヴィデオで、すべてのドアは開閉記録で見張られる万全の管理体制を、犯人と被害者はいかにかいくぐったか?奇抜な女子大生と氷川が究極の推理合戦でしのぎを削る。

amazonレビュー

秀逸! 激賞! まずは読もう。

激賞ものだ。『真っ黒な夜明け』『密室は眠れないパズル』に続く第3弾の名探偵もの。最先端の本格推理小説である。舞台は聖習院女子大学哲学科。逆さ吊りにされた女子大生と、密室で殺された警備員を結ぶ美しい論理とは何か。

この作家は「書ける」。読みやすい。感動を誘う文体ではないが、流れるような文体の滑らかさがある。それは頭でっかちの知性を前提としている読みではあるが。東京大学哲学科の出身だけあって、ペダンティックな装いも忘れていない。何よりも本作では、アカデミックな世界の雰囲気をよく伝えている。いわく、出身大学と赴任大学、主任教授と平教員、助手の地位、女子学生との隠微な関係、女子教員との爛れた関係、教員と職員などなど。

その雰囲気の中で闖入する名探偵(!候補)の氷川透。そして突然名探偵の素質に芽生えた女子大生。2人の名推理が見物だ。第2名探偵の推理する空中楼閣は、あまりにも美しすぎて「最後から二番目の真実」であった。この題名は秀逸だ。

後期クイーン論(名探偵論)、ラッセルのパラドックス、ゲーデルの不完全性定理など、その方面に興味を持つ読者にも堪らない魅力だ。